Klassic言語開発日誌 〜列多相(row polymorphism)〜
最近、Klassic言語をちょくちょく更新しているのですが、半月くらい前にオブジェクトに関係する型推論の仕組みを入れました。知っている人は知っていると思いますが、OCamlとかにあるアレです。たとえば、
def distance(p, e) = { // abs: Double => Double // double: Int => Double val dx = abs(double(p.x - e.x)) val dy = abs(double(p.y - e.y)) sqrt(dx * dx + dy * dy) // sqrt: Double => Double }
こういうKlassicプログラムがあったとします。これは、 Player ( p
)とEnemy ( e
)が引数に与えられたとき、それぞれが x
と y
というメンバがあると仮定して、PlayerとEnemyの間の距離を計算する、というものです。
この関数の型を推論させてみると、以下のように推論されます。
distance : ( record{ x: Int; y: Int; ...}, record{ x: Int; y: Int; ...}, ) => Double
算術演算子を適用しようとした場合に、他にいい候補がないときにデフォルトで Int
を対象として選択するのは、現状のイケてない点ではありますが(型クラスを入れるのがいいのだろうか…)、とりあえず意図通りに推論されています。
まだ、メソッドの型推論を真面目にやっていないので、来月中にはその辺をきちっと作り込みたいところですが、ようやくオブジェクト指向言語を名乗ってもいいような感じになってきました。
ところで、row polymorphismってなんで行多相じゃなくて列多相って訳が定訳(?)なのでしょうか。どなたかご存知の方が居れば情報をいただきたく。